Q治療のために、いつまで通院できるのでしょうか?
A傷病が治ゆ(症状固定)するまで、療養(補償)給付を受けることが出来ます。
療養開始後、1年6か月を経過しても治ゆ(症状固定)しておらず、傷害の程度が重い場合には、傷病(補償)年金を受けることが出来ます。
Q傷病(補償)年金とはどういうものでしょうか?
A療養開始後1年6か月を経過しても治ゆ(症状固定)しておらず、傷害の程度が重い場合に受ける年金です。
法令で定められた傷病の程度(傷病等級)に該当し、その症状が継続している場合、傷病(補償)年金、傷病特別支給金および傷病特別支給金が支給されます。
※傷病(補償)年金は、ご本人の請求により支給するものではなく、労働基準監督署長の決定に基づき支給されるものです。
Q完治していないのに、治ゆ(症状固定)と言われましたが、何らかの補償はありますか?
A治ゆ(症状固定)の状態になった方にも保険給付や支援があります。
労災保険では完治に至らなくても、傷病の状態が安定し、治療してもこれ以上改善しないものも、治ゆ(症状固定)として取り扱います。治ゆした後に後遺障害が残った場合には、傷害の程度(法令に定められた障害等級に該当するとき)に応じて障害(補償)給付が(障害の程度に応じて、年金または一時金)支給されます。他に、特定の傷病に該当する場合には「アフターケア」として1か月に1回程度の診察・保健指導・検査など、一定の範囲で必要な措置及びそれに要した通院費が支給されます。
Qアフターケアってなんですか?
A仕事によるケガや病気で療養されている方で、そのケガや病気が治った後も再発や後遺障害に伴う新たな病気を防ぐため、労災指定医療機関で診察や保健指導・検査などを無料で受信することが出来る制度です。
アフターケアの対象となるケガや病気は、脊髄損傷等20種類あり、傷病が治ゆ(症状固定)した後においても後遺症状が変化したり、後遺障害に付随する疾病を発症させる恐れがある場合に支給されます。申請が認められると、都道府県労働局からアフターケア健康管理手帳が交付されます。この手帳の提示がないとアフターケアを受けることが出来ません。
Q重い障害により、今後家族や介護サービスなどから介護を受けることになる場合、どのような補償が受けられるでしょうか?
A介護(補償)給付として、介護に要した費用が一定の範囲で支給されます。
◆支給要件のポイント・・・①〜④のすべての要件を満たす必要があります。①障害(補償)年金又は傷病(補償)年金の第1級または第2級で、高次能機能障害・身体性機能障害などの障害を残し、常時あるいは随時介護を要する状態にあこと。②民間の有料サービスなどや親族・友人・知人から、現に介護を受けていること。③病院または診療所に入院していないこと。④老人保健施設などに入所していないこと。
◆支給内容・・・支給額は常時介護・随時介護で異なります。
Q一度治ゆ(症状固定)した後に、再び症状が悪化した場合には、何らかの補償が受けられるのでしょうか?
A要件を満たした場合には「再発」として、再び補償を受けることができます。
◆要件・・・①〜③の要件をすべて満たすと、再発として補償を受けることが可能です。①傷病の悪化の原因が秒無以外の原因によるものではないと認められること。②治ゆ時の状態から見て明らかに症状が悪化したこと。③療養によって、その症状が改善される見込みがあること。
Q後遺障害がのこり、今後車いすや義肢などの補装具が必要となった場合には、どのような支援が受けられるのでしょうか?
A義肢などの補装具の購入や修理にかかった費用の支給を受けることができます。また、一定の要件を満たす場合には、購入や修理に要した旅費が支給されます。
一定の欠損障害又は機能障害が残った方に対して、
社会復帰していただくことを目的
に、社会復帰促進等事業として行われています。
・義肢等補装具の費用の支給
◆支給要件・・・障害(補償)給付の支給を受けているか、受けると見込まれ一定の要件を満たす場合
◆支給内容・・・購入(修理)に要した費用を基準額の範囲内で支給します。また、一定の要件を満たす場合は、旅費も支給されます。
Q後遺障害の軽減や義肢の装着などの為の手術や診療(外科後処置)を受けることになった場合には、何か支援がありますか?
A外科後処置を無償で行っています。また、一定の要件を満たす場合には、それに要した旅費が支給されます。
◆支給要件・・・障害(補償)給付の支給を受けた場合
◆支給内容・・・労災病院または指定された病院において、義肢装着の為の再手術、瘢痕(はんこん)の軽減など、傷病が治ゆ(症状固定)した後に行う処置・診療を自己負担なしで受けることが出来ます。また、一定の要件を満たす場合には旅費の支給を受けることが出来ます。
Q他に何か支援制度はありますか?
A数種類の支援制度があります。
・頭頸部外傷症候群等に対する職能回復援護
頭頸部外傷症候群に罹患(りかん)した方で、精神または神経に障害が残った方については、被災前の労働に従事することが困難な場合が少なくないことから、就業のための技能の習得を目的として教習等に出席する時は、教材費の一部が支給されます。
・労災はり・きゅう施術特別援護措置
頭頸部外傷症候群等に罹患した方については、その症状が固定した後における疼痛等を軽減する時、原則として1年以内の期間、1か月に5回を限度として、はり・きゅう施術を自己負担なしで受けられます。
・振動障害者社会復帰援護金
振動障害により療養していた方に対し、治ゆ(症状固定)したときに、給付基礎日額の120日分(65歳未満の場合は200日分)が一時金として支給されます。ただし、いずれの場合も300万円が限度とされています。
・振動障害者雇用援護金
振動障害が軽減した、または治ゆ(症状固定)した労働者を振動業務以外の業務に再就労させた等の場合に、事業主に対して①転換援護金、②訓練・講習等経費、③指導員経費が支給されます。
Q仕事中や通勤途中の交通事故で、事故の相手方が加入している自賠責保険などから保険金を受けた場合には、労災保険からの支給は受けられるのでしょうか?
A差引支給と特別支給金が受けられます。
自賠責などから保険金の支払いを受けた場合、同一理由での労災保険給付は自賠責保険などから受領した金額を差し引いて支給することになります。なお、休業した場合や後遺症が残った場合に支給される特別支給金については、自賠責保険などからの支払いの有無にかかわらず支給されます。
Q仕事又は通勤が原因で夫が死亡した場合、どのような補償が受けられるのでしょうか?
A遺族(補償)年金または一時金、葬祭料(葬祭給付)を受けることが出来ます。
・遺族(補償)年金・・・請求できる遺族(受給資格者)は・・被災労働者の死亡当時、その収入によって生計を維持されていた配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹です。受給資格者のうち、最先順位者に対し、遺族の数などに応じて支給されます。また、1回に限り、年金の前払いを受けることができます。
・遺族(補償)一時金・・・被災労働者の死亡当時、遺族(補償)年金を受ける遺族がいない場合や、遺族(補償)年金の受給権者がすべていなくなってしまった時で、受給権者であった遺族の全員に対して支払われた年金と年金前払い一時金の合計額が給付基礎日額の1000日分に満たない場合に支給されます。
Q遺族(補償)年金を受給していた方が亡くなった場合は?
A前記の遺族の方のうち、次順位の受給資格者に支給されます。
受給資格者のうち、最先順位の者が受給権者となります。前記では「配偶者・子・父母・孫・・」となっており、この場合の最先順位の配偶者が亡くなった場合には「子」が次順位の受給資格者です。
Q災害業務によって思い障害を負ったため、長期にわたり介護をしていた親族が、業務とは関係のない病気で死亡した時には何か補償が受けられるのでしょうか?
A遺族(補償)給付が受けられない場合であって、長期に被災者の介護に当たってきた等、一定の要件を満たす遺族は、長期家族介護者援護金を受けることが出来ます。
◆支給要件・・一定の障害により、傷害等級第1級の障害(補償)年金または傷病等級第1級の傷病(補償)年金を10年以上受給していた方が、業務以外の原因で死亡した場合、一定の要件を満たす遺族に支給されます。
◆支給内容・・・遺族に対して、100万円の援護金が支給されます。(援護金の支給を受けることが出来る遺族が2人以上の場合は100万円をその数で除して得た額となります。)
Q死亡する前に治療や休業をしていて、労災による保険給付を受けることができた家族が、給付を受ける前に死亡した場合、誰かが代わりに給付を受けることはできますか?
A保険給付(未支給の保険給付)がある場合には、一定の要件を満たす遺族に保険給付および特別支給金を支給します。
◆一定の要件・・・(1)支給事由はあるが、まだ請求していない。(2)請求はしたが、まだ支給決定していない。(3)支給決定はあったが、まだ支払われていない。
◆請求できる遺族・・・次の①②の要件をどちらも満たす場合に請求できる遺族となります。①亡くなった被災労働者の配偶者・子・父母・孫・祖父母・および兄弟姉妹 ②被災労働者が亡くなった当時、その方と生計を同じくしていたこと(必ずしも同居している必要はありません。) ※なお①②の要件を満たす方がいない場合は、相続人が請求することが出来ます。
Q遺族(補償)年金受給者や遺児が学校に通っている場合、何らかの支援が受けられるのでしょうか?
A遺族(補償)年金を受給している方や、一定の要件を満たす方は、①労災就学援護費 ②労災就労保育援護費として、一定額の支給を定期的に受けることが出来ます。
・労災就学援護費
◆支給要件・・・①〜③のいずれかに当てはまり、学費等の支払いが困難と認められる場合①遺族(補償)年金を受給していて、死亡した労働者の子と生計を同じくしており、その子が学校教育法第1条の学校等(※)に在学している(在学中)、または受給者本人が在学中②第1〜3級の障害(補償)年金を受給していて、生計を同じくしている子が在学中、または受給者本人が在学中③傷病(補償)年金を受給していて(脊髄の損傷などで傷病の程度が特に重篤と認められる人に限る)、生計をおなじくしている子が在学中(※)小学校・中学校・高等学校・大学・高等専門学校・盲学校・ろう学校・養護学校等
◆支給内容・・・ご本人やお子さんが在学する学校などに応じて月額一定額が支給されます。(※通信制高校については別途確認必要です。)
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労災就労保育援護費
◆支給要件・・・①〜③のいずれかに当てはまり、保育費用を援護する必要があると」認められる場合①遺族(補償)年金を受給していて、死亡した労働者の子と生計を同じくしており、その子を就労の為に保育所等に預けている、又は受給者本人がその家族の就労の為に保育所等に預けられている。②第1〜3級の障害(補償)年金を受給していて、生計を同じくしている子を就労の為に保育所などに預けている、又は受給者本人がその家族の就労の為に保育所等に預けられている。③傷病(補償)年金を受給していて(脊髄の損傷等で傷病の程度が特に重篤と認められる人に限る)、生計を同じくしている子どもを就労の為に保育所等に預けている。
◆支給内容・・・月額で一定額支給されます 。