カワウン君と社労士A先生の労災講座 「特定業務・特定健康診断」① 労災保険加入時健康診断
カワウン君)A先生、一人親方さんって、同じように加入するのに、健康診断を受ける人と受けない人がいるのはなぜですか?A先生は今日申込をされた一人親方さんに健康診断が必要って言っていましたよね。
A先生)ああ、それは「加入時健康診断」といってね、一定の業務に一定期間従事していたことがある一人親方さんは、労災特別加入の申請を行う際に健康診断を受けなければならない事になっているんだよ。
カワウン君)今日の一人親方さんは塗装をしている職人さんでしたよね。水性塗装じゃないって言っていました。
A先生)そうだね、今までに通算で15年有機溶剤を使用してきたと言っていたね。塗装の有機溶剤は通算6か月以上従事していれば、加入の時に健康診断が必要なんだよ。
カワウン君)では、この人は加入する時々に「健康診断」をいっつも受けなければならないんですか?ちょっと大変そうですね。
A先生)うーん。結果的にはそうなるね。ただし、例えば当協会の加入手続をする前に「〇〇団体さん」で特定健康診断をして加入していたとするね。その「〇〇団体さん」を脱退して、1日も開けずに翌日から当協会に加入するとしたら、「健康診断受診済」という事で手続きが出来る場合があるよ。でも、なかなかそういう「ぴったり継続」は難しいみたいだね。だから結局どこかに(再)加入する時には、もう一度「特定健康診断」受診の必要があるんだよ。
ただ、一度健康診断を受診すれば、その団体から脱退しない限り、1回で済むね。保険の更新時にも再受診の必要はないからね。
カワウン君)でも、健康診断を受けて元気だったらホッとしますよね。
A先生)そもそもこの健康診断は「国からの指示」なんだよ。「労災加入する前に、もうすでに病気だったら、仕事どころではないでしょう?念のため確認して下さいね」・・っていう考え方かな。
もしも、本当に病気だったりしたら、その業務での労災加入は出来ないんだよ。「仕事も大切ですが、身体治して下さい。」っていう事なんだね。
カワウン君) えぇ〜じゃあ健康診断を受けずに加入してしまって、その後に病気になったら?
A先生)うーん、そういう事もあるかも知れないね。もしも加入後すぐに、特定業務が原因で病気になったとしよう。そうしたら、「そもそもこの特殊なモノを使用していて、加入後に病気になるのは・・。加入前の特定健康診断は受診していましたか?」・・と、考え方が振り出しに戻っちゃうんだね。申告していなくて病気になったとしたら、病気罹患での労災認定は・・難しいね。
そもそも業務の内容や業務歴などについて、虚偽(偽った内容)の申告をした場合には、特別加入の申請が承認されなかったり、保険給付を受ける事が出来なくなる場合があるんだよ。
カワウン君)でも、A先生、健康診断受診はOKだったのに、加入後に特定業務が原因で病気になってしまったらどうするんですか?
A先生)それは、今までの使用年歴等を考慮して、審査されていくんだよ。ずうーっと使用してきたのなら、健康診断時には大丈夫でも、加入後にも引き続きハードに使用していれば、作業中の病気と考えられるよね。
カワウン君) そうなのですかぁ。やはり自己管理・自己申告での加入手続の推進をしていきます!
A先生)そうだね。次回は、特定健康診断受診後の「本承認」の話をしようか。