建設業一人親方労災
はじめに
労災保険は、本来労働者の業務または通勤による災害に対して保険給付を行う制度ですが、労働者以外でもその業務の実情・災害の発生状況などからみて、特に労働者に準じて保護する事が適当であると認められる一定の人には特別に任意加入を認めています。これが、特別加入制度です。
建設業の一人親方の範囲について
建設業の一人親方とは・・・労働者を使用しないで、建設の事業に従事している方を言います。特に職種の限定はなく、大工・左官・石工・塗装工・配管工・土木・電気工事業・建設機械オペレーター・建具工・鉄骨加工などが該当します。
一人親方に該当するのは・・・
◆会社に雇用されずに個人で仕事を請け負っている
◆特定の会社に所属はしているけれども、その会社と請負で仕事をおこなっている
◆見習いで作業に従事しているが、見習い先とは雇用関係にはない
◆グループで仕事をしているが、お互いに雇用関係はない
一人親方に該当するかどうかの判断基準が国土交通省から出ています。
⇒「一人親方」なのかどうかの確認資料はこちらへ:建設業一人親方判断基準・国土交通省
一人親方・特別加入者の範囲などを詳しく確認したい場合はこちら⇒「一人親方・特別加入者の範囲等」で、ご確認下さい。
労働者を使用しないでとは・・・従業員(日雇・パート・アルバイトを含みます。)を使用していない方を言います。ただし、従業員を使用していても、アルバイトなどを1年間に100日未満で使用している場合には、使用している人でも一人親方になります。会社の代表者であっても、従業員を使用していない場合には、その代表者は一人親方となります。個人・法人は問いません。親子で現場に入っている方々も、それぞれ一人親方になります。
建設業の一人親方様はどうして労災に特別加入する必要があるのでしょうか
建設現場の労災は元請事業者が加入することになっており、その現場で働く「労働者」は元請・下請にかかわらず、万一の事故の場合には労災の補償が受けられます。 しかし、労働者ではない個人事業主また一人親方など請負で仕事をされる方については、この元請の労災補償は受けられません。
現場で加入している元請の労災が使えるのは、元請や下請会社に雇用される従業員(労働者)のみになります。請負で仕事をされる方は自営業者の扱いになり、労災で言う労働者の扱いにならない為、現場の労災が使えないのです。
【建設現場の労災保険の仕組み】
現場労災の補償対象外 | 現場労災の補償対象 | 現場労災の補償対象外 |
× 建設業の一人親方 | ○ 元請会社の従業員 ○ 下請会社の従業員 ○ 下請個人事業者の従業員 | × 元請会社の代表者 役員 × 下請会社の代表者 役員 × 下請個人事業の代表者 同居家族 |
※一人親方労災特別加入制度での ※中小企業事業主等労災特別加入制度対応となります。 での対応となります。
一人親方 労災保険特別加入について

⇒「労災保険料・会費」はこちらから(必要金額の詳細にて、ご確認下さい。)
◆他ご参考ページ
⇒「よくあるご質問」はこちらから
⇒「お問い合わせ方法」等はこちらから
業務災害について
保険給付の対象となる災害は、加入者ごとに一定の業務を行っていた場合(業務遂行性)に限られています。したがって、次に該当する場合に限られ、それ以外は被災しても保険給付を受けることが出来ませんので、ご注意ください。
実際の事故時には、事故の状況を労災申請書に記載し、労災補償の対象になるかどうかを労働基準監督署が審査することになります。
- 請負契約に直接必要な行為を行う場合
(例)工事の請負契約を締結する行為、契約前の見積り、現場の下見を行う場合等
- 請負工事現場における作業及びこれに直接関係する場合
(例)請負工事現場における作業等全般
- 請負契約に基づき必要な作業を工事現場以外の場所で行う場合
(例)請負契約に伴う作業を自家内作業場や倉庫等で行う場合
- 請負工事にかかる機械及び製品を運搬する作業
(例)請負工事に係る機械・材料等を、自宅から工事現場まで運搬する行為
- 台風や火災などの突発事故等による予定外の緊急出動の途上
通勤災害について
通勤災害については、一般労働者の場合と同様に取り扱われます。
労災保険法上の通勤とは・・・
「通勤災害」とは、通勤により被った負傷・疾病・障害・または死亡をいいます。
この場合の「通勤」とは、就業に関し、①住居と就業の場所との間の往復 ②就業の場所から他の就業の場所への移動 ③赴任先住居と帰省先住居との間の移動を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとしています。これらの移動の経路を逸脱・中断した場合には、逸脱又は中断の間及びその後の往復は「通勤」とはなりません。
ただし、逸脱又は中断が日常生活上必要な行為であって、厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合には、逸脱又は中断の間を除き、合理的な経路に復した後は「通勤」となります。
「業務災害」「通勤災害」に該当するかどうかの判断は、労働基準監督署が行います。